犬はビタミンCを作ることができます!だけどビタミンC補給は必要?必要じゃない?

ビタミンC

今回は、多くの飼い主さんが気になっている「ペットへのビタミンC補給」についてお話しします。ネット上では「イヌやネコにはビタミンC補給は不要」という情報をよく目にしますが、実際はそう単純ではありません。ペットの健康と長寿のために、ビタミンCの役割を深く理解しましょう。

目次

ビタミンCの合成能力:動物による違い

ビタミンCは体内で重要な役割を果たしていますが、すべての動物が自身で合成できるわけではありません。

体内合成できる動物

  • 家畜:ウシ、ウマ、ヤギ
  • 実験動物:マウス、ラット
  • ペット:イヌ、ネコ、ウサギ

体内合成できない動物

  • 霊長類:ヒト、サル
  • 実験動物:モルモット
  • その他:魚、コウモリ

ビタミンC合成のメカニズム

ビタミンCの合成は主に肝臓で行われ、ブドウ糖が原料となります。

  1. ブドウ糖が肝臓で約10段階の工程を経る
  2. L-グロノ-γ-ラクトンという物質が生成される
  3. L-グロノラクトン酸化酵素(GLO)によってビタミンCに変換される

ポイント: GLOを持っているかどうかが、動物がビタミンCを合成できるかの鍵となります。

イヌのビタミンC事情

加齢とビタミンC量の関係

研究によると、イヌの血中ビタミンC濃度は年齢と共に減少します:

  • 1歳未満:10.18mg/L
  • 10歳以上:6.56mg/L

この減少は、加齢に伴う様々な要因(食事内容の変化、ストレス増加、感染症リスクの上昇、肝機能の低下など)によるものと考えられます。

柴犬における血漿中ビタミンC濃度

ビタミンC補給の必要性

ビタミンCには多くの重要な役割がありますが、特に注目すべきは以下の3点です:

1. 白内障の予防

白内障は7歳を過ぎたペットでよく見られる病気です。研究によると、白内障のイヌは健康なイヌに比べて血中ビタミンC濃度が約16.3%低いことが分かっています。ビタミンCの抗酸化作用が水晶体を紫外線による酸化ストレスから守るため、高齢ペットへのビタミンC補給は白内障予防に役立つ可能性があります。

Barros PS, Angelotti AC, Nobre F, Morales A, Fantoni DT, Barros SB. Antioxidant profile of cataractous English Cocker Spaniels. Vet Ophthalmol. 1999;2(2):83-86. doi: 10.1046/j.1463-5224.1999.00056.x. PMID: 11397247.

2. コラーゲンの合成

コラーゲンは健康な肝臓や皮膚・被毛に欠かせないタンパク質です。ビタミンCは、コラーゲンの重要な構成要素であるヒドロキシプロリンの合成に必須です。

3. 抗老化作用

ビタミンC合成に関わる酵素(グルコノラクトナーゼ)は年齢と共に減少します。これにより体内のビタミンC量が減少し、老化が加速される可能性があります。ビタミンCを補給することで、老化の進行を緩和できる可能性があります。

まとめ:7歳からのビタミンC補給のすすめ

イチゴを見てる犬

イヌやネコは確かに体内でビタミンCを合成できますが、その能力は限られています。加齢と共に様々な要因でビタミンC量が減少し、健康リスクが高まる可能性があります。

おすすめ: 7歳頃からビタミンCの補給を始めることで、ペットの健康維持や老化対策に役立つ可能性があります。ただし、適切な摂取量については獣医師に相談することをお勧めします。

愛するペットの長寿と健康のために、ビタミンCの重要性を理解し、適切なケアを心がけましょう。

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